隕石・蟻・ゾウのフン・牡蠣の殻・パンの耳…ユニークなボタニカルで作られるクラフトジン!

現在はクラフトジンブーム!世界各国の蒸留家が新しく、そして美味しいジンを求めてさまざまな試行錯誤をしています。
ジンの香りや味を決める上で「ボタニカル」の存在は避けては通れません。
ハーブやスパイスなどを蒸留過程(あるいは蒸留後)に加えます。
ボタニカル(botanical)は植物を指す言葉ですが、今回は植物ではないものも「ジンの材料」という広義な意味で扱います。

香りや味付けをするボタニカルには様々なものがあります。
そのほとんどはハーブやスパイス、フルーツなどですが、最近はユニークなものも増えてきました。食べられるものだけではなく、食べることができないもの、そもそもどんな味がするのだろうか…と気になるもの。それだけを見ればけっして魅力的ではないもの。
今回はユニークな材料を使用したジンを取り上げます。

ムーンジン オリジナル
MOON GIN ORIGINAL

こちらはなんと月の隕石を蒸留したジンです。生産はベルギーです。
ムーンジンは、シトラスのフレッシュな香り立ちとオレンジやレモンピールのフルーティな苦み、アーモンドとリコリスのほのかな甘みを感じる余韻の長い味わいが特徴です。
使用ボタニカルは【月の隕石、ジュニパーベリー、コリアンダーシード、カルダモン、
アンジェリカルート、レモンピール、オレンジピール、シナモン、ペッパー、
リコリス、ローズマリーなど】が明らかにされています。
あたたかみのある陶器のボトルも印象的です。
公式HPを見ると、「月夜の味わい」だそうです。
隕石が味に及ぼす影響はあるのだろうか、そもそも月夜の味わいとはなんだろうか、と問い詰めるのは野暮です。
月夜の味わいがするジンなのです。そうなのです。
ちなみに使用している月の隕石は(NWA 8277 Lunar)だそうです。

オーストラリアン グリーンアント ジン
AUSTRALIAN GREEN ANT GIN

オーストラリアン グリーンアント ジンは、オーストラリアのクラフトジンです。
特徴は、食用アリであるグリーンアントを浸漬してボタニカルとして使用していること。グリーンアントは、薬効が高く、古くからオーストラリアでは貴重な栄養源とされています

なんとボトルの中にも数匹のグリーンアントが入っているようで、インパクト大です。
なかなかキワモノに属する感じですが、イメージとは違って非常にクオリティーが高く美味しいよ!とおススメされた頂いたことがあります。
恐る恐る飲んでみましたが、非常に美味しかったことを覚えています。
蟻酸の影響でしょうか、甘さと酸味が非常に心地よく華やかで上品な香りのジンでした。

もし飲む機会がありましたら是非!昆虫そのものは苦手な私ですが、とても美味しいジンでした。

ちなみにイギリスのクラフトジンで同様に蟻を漬け込んだアンティー ジン ANTY GINも生産されています。
こちらはボトルデザインからして蟻々しく虫が苦手な方は画像でもびっくりされるかもしれないので、気になる方は検索してみてください。

桜尾ジン リミテッドエディション


広島県の桜尾蒸留所が製造するクラフトジン。
質の高いクラフトジンを多く送り出している安心の蒸留所です。
そのなかでも「リミテッドエディション」に使われるボタニカルはすべて広島県産としています。
ボタニカルは桜、ジュニパー、クロモジ、木の芽、本わさび、ジュニパーベリーリーフ、青紫蘇、そして牡蠣の殻です。
桜やわさびなども珍しいですが、やはり牡蠣の殻が気になります。
蒸留所から程近くの海域で育った牡蠣の殻を使用しており、味わいにはソルティ―さをもたらします。

インドラブ・ジン
INDLOVU GIN


南アフリカの高級クラフトジンです。
インドLOVEジンではありません。インドラブとは現地の言葉で「象」を意味しています。
使われているボタニカルはなんとゾウの糞です(!)
ゾウの排泄物から取り出したアカシア、アロエ、アガトスマなどの食物繊維をボタニカルとして使用しています。これらの植物は強力な抗酸化作用を含み、現地では薬草として使われているようです。
ゾウは食したものの30%ほどしか消化せず、その残りはほとんどそのままフンとして排泄されます。体内を通るスピードが非常に速いためにバクテリアの値が低くなるようです。

頂いたことがありますが、もちろん不快の香りや味はしなことを改めてお伝えします。
とてもスムースで綺麗なジンでした。
気になる衛生面ですが、南アフリカと日本、2カ国で衛生機関に検査を依頼し、バクテリア、ウィルスなど有害細菌数が0であることが証明されておりますのでご安心ください。

インドラブの特徴はそのユニークな製法や味だけではなく、野生動物の保護に貢献していることも挙げられます。売上の一部を保護活動に寄付しており、サスティナブルな好循環を体現したボトルといえます。
私たちが飲むことによって、アフリカの動物を救う活動に貢献できるわけです。

ピュア ブレッドジン#1
PURE BREAD GIN

2023年に4月下旬リリースされた非常に気になるクラフトジンです。
ベーススピリッツにパンの耳を用いたクラフトジンです。このためボタニカルではなく、ジンの原料としてパンの耳を用いています。

同社は昨年神奈川県のベーカリーがパンの耳を使用したクラフトビール「upcycle」を発売しています。
サンドイッチなどの製造過程でロスとなるパンの耳を用いたビールは話題になり、関心を集めました。
そして先月、今度はパンの耳を用いたクラフトジンを手掛けています。
パンの原料の小麦を用いたクラフトジンはやわらかく、華やかでさっぱりとした味わいに出来上がっているのこと。
ボタニカルはジュニパーベリー、ライム、柚子、ラベンダーなど。
発売直後のため情報は少ないですが非常に気になるクラフトジンです。

まとめ

いかがでしたか?
あっと驚く物を飲料の材料にしてしまうクラフトジン。
上に上げたのはほんの一例で和牛やタガメを使ったジンがあります。

なかでも最近はSDG’sやサステナビリティに注目した材料が多い傾向にあると感じています。
通常では捨てられるものや、フードロスの問題を解決していく上での影響も多くなっていきます。
飲んで応援できる、それも素敵な取り組みだと思います。

これからも次々にユニークなジンが出てくることは間違いなし!これからのクラフトジンの動向に目が離せません!