エレガントなコニャックハウス 「マーテル」の魅力に迫る!

コニャックのマーテルは、フランス南西部シャラント県コニャック地方に根ざす、300年を超える歴史を誇る名門メゾンです。1715年、ジャージー島出身のジャン・マーテルが創業して以来、「青いリボンのコニャック」と称されるエレガントで洗練されたスタイルを確立し、世界中の愛好家を魅了し続けています。その独自性は、特にボルドリ地区の原酒を積極的に用いるブレンド哲学にあり、他のメゾンとは一線を画す繊細な味わいを生み出しています。マーテルは単なるブランデーではなく、テロワール、職人技、歴史、革新、そして文化的アイコンとしての役割が融合した、総合芸術作品として位置づけられています。以下では、その全貌を詳細に紐解きます!


創設者ジャン・マーテルの生涯と初期の飛躍

ジャン・マーテルは1694年頃、英仏海峡のジャージー島で生まれました。島はイギリス王室領でありながらフランス文化の影響が強く、若きジャンは商人としてワインやスピリッツの貿易に親しみました。1715年、21歳のときに単身コニャック地方に移住。すでにオランダ人やイギリス人が蒸留技術を持ち込み、ワインを濃縮して輸送するブランデーが発展していました。ジャンは現地の蒸留業者と契約し、品質管理を徹底。1717年には早くもイギリスへの輸出を開始し、1721年にはアメリカ植民地への船荷を記録。1730年代にはカリブ海の島々にも進出し、砂糖貿易と連動したネットワークを構築しました。

特に象徴的なエピソードが1775年。アメリカ独立戦争の英雄ジョージ・ワシントンにコニャックを納品した記録が残っています。ワシントンは「マーテルのブランデーは戦場の疲れを癒す」と手紙に記し、ブランドの名声は大西洋を越えて広がりました。この時期、ジャンは兄弟とともに「マーテル・ブラザーズ」を設立。船団を所有し、直接貿易を行うほどの規模に成長。1740年代にはコニャック川沿いに自社セラーを建設し、熟成管理を内製化しました。ジャンは1780年頃に死去しましたが、息子たちに「品質第一、国際志向」という理念を遺しました。


19世紀:ボルドリスタイルの確立と試練の時代

19世紀に入ると、マーテル家は代々事業を継承。2代目エドゥアール・マーテル(1790-1860)は、1831年にボルドリ地区のブドウ畑を取得。この地区はコニャック6地区の中で最も面積が小さく(約5,000ヘクタール)、生産量は全体の5%程度に過ぎません。土壌は粘土と石灰質が層状に重なり、ブドウにすみれ、ヘーゼルナッツ、アプリコット、ジャスミンのような繊細なアロマを与えます。エドゥアールは「力強さではなく、優雅さを」と宣言し、ボルドリ原酒をブレンドの20〜30%に設定。他メゾンがグランド・シャンパーニュの長期熟成向きの原酒を重視するのに対し、マーテルはボルドリのフローラルノートを活かし、若いうちから楽しめるバランスを実現しました。これが「スタイル・マーテル」の原型です。

1855年、パリ万国博覧会に出品。ナポレオン3世が視察し、「青いリボンのコニャック」と称賛した逸話が残っています(リボンはボルドリの青い花に由来)。この時期、コニャックはフランスの外交贈答品となり、マーテルはイギリス王室やロシア宮廷に納品。1860年代には蒸気船による大量輸送が可能になり、輸出量は飛躍的に増加しました。

しかし1870年代、フィロキセラ禍が襲来。ヨーロッパのブドウ畑が壊滅し、マーテルも90%以上の畑を失いました。エドゥアール2世はアメリカ産カベルネ・ソーヴィニヨン根茎による接ぎ木をいち早く導入。1880年代には復興を果たし、品質を維持しました。この危機を乗り越えた経験は、「持続可能性」の先駆けとなりました。


20世紀:コルドン・ブルーの誕生とグローバル化

20世紀は試練と飛躍の連続でした。1912年、創設200周年を記念して「コルドン・ブルー」が誕生。セラーマスターのエドゥアール・ルグラン(1870-1940)は、100種類以上のオー・ド・ヴィーをブレンド。ボルドリ原酒を核に、グランド・シャンパーニュの長期熟成原酒、ファン・ボワのスパイシーな原酒を加え、プラム、シナモン、ココア、ドライフルーツの複雑な層を構築しました。発売直後、パリのグランホテルや高級レストランで愛され、1920年代の「狂騒の時代」にはジャズエイジの象徴に。F・スコット・フィッツジェラルドの小説『グレート・ギャツビー』に登場するほどのステータスを得ました。

第一次世界大戦中は生産が制限されましたが、戦後復興とともに国際展開を加速。1920年代にはアジア市場に進出し、中国では高級贈答品として定着。日本では1960年代の経済成長とともにバー文化で普及し、水割りやストレートで楽しまれるようになりました。第二次世界大戦ではナチス占領下で蒸留が禁止され、樽は地下に隠されましたが、戦後復興とともに再開。1950年代にはアメリカ市場で再ブームを巻き起こしました。

1970年代、セグラム社傘下に入り、グローバルマーケティングを強化。1980年代には「マーテル・ジャズ・ア・コニャック」フェスティバルを創設し、音楽とのコラボを開始。2001年にペルノ・リカールグループに買収された現在も、メゾンとしての独立性を保ち、コニャック本社で全工程を管理しています。


コニャック生産の精緻な工程:テロワールから熟成まで

1. ブドウ栽培と6地区のテロワール

コニャックはAOC法により、ブドウ品種はユニ・ブラン(99%)、一部フォル・ブランシュ、コロンバールと規定。マーテルは自社畑と契約農家から調達し、収穫は10月、手摘みと機械摘みの併用。6地区の特徴は以下の通り:

地区 土壌 特徴 マーテルの使用割合
グランド・シャンパーニュ 石灰質豊富 長期熟成向き、シトラス・花 30-40%
プティット・シャンパーニュ 石灰質 繊細、ナッツ 20%
ボルドリ 粘土+石灰質 フローラル、ナッツ、すみれ 20-30%(核)
ファン・ボワ 赤土 フルーティー、丸み 10-15%
ボン・ボワ 砂質 海のミネラル 5%
ボワ・オルディネール 砂質 若飲み向き 5%

ボルドリは特に希少で、マーテルは自社で数百ヘクタールを所有。土壌分析を毎年行い、ブドウの剪定を最適化しています。

2. 発酵と蒸留の妙技

収穫後、プレスし、24時間以内に発酵開始。マーテルはステンレス製とコンクリート製タンクを使い分け、温度を18-22℃に管理。発酵は7-10日でアルコール度数9%のワインを得ます。

蒸留はシャラント式二度蒸留。1回目で約30%のブロイリス、2回目で約70%のオー・ド・ヴィーを得ます。マーテルは一部原酒で「sur lie(澱付き)蒸留」を実施。ワインの澱(酵母や脂肪酸)を加えることで、エステル、リッチなテクスチャー、フローラルノートを強化。銅製ポットスチルは容量300〜2500リットルと小型で、蒸留責任者が火力調整。ヘッド(初留)とテール(後留)を厳しくカットし、心臓部のみを採取。年間数千回の蒸留を繰り返し、原酒庫には数万樽が眠ります。

3. 熟成の芸術性:樽とセラーの秘密

樽はトロンセー産(細粒オーク、繊細タンニン)とリムーザン産(粗粒、強いバニラ香)のブレンド。自社樽工房では、樽材を屋外で2〜3年乾燥させ、樽職人が手作業で組み立て。新樽で最初の1〜2年はオーク香を強く吸収し、その後古樽に移して丸みを出す「トワゾンシステム」を採用。セラーはコニャック川沿いの地下倉庫で、湿度80%、温度12℃を維持。天使の分け前は年間2〜3%で、熟成による濃縮が進みます。

セラーマスターは毎朝数百サンプルをテイスティングし、ブレンドノートに記録。現在のリストフ・ヴァルテール(8代目)は、代々受け継がれる嗅覚の記憶を頼りに、完璧なハーモニーを追求。「コルドン・ブルー」では、1912年蒸留の原酒も微量ブレンドされ、歴史の連続性を体現しています。


製品ラインナップの奥深さ:日常から至高まで

製品 最低熟成年数 主な原酒 香味プロファイル 楽しみ方
VS 2年 ファン・ボワ中心 リンゴ、柑橘、フレッシュ カクテル(トニック、ジンジャー)
VSOP 4年 ボルドリ+プティット プラム、アーモンド、キャラメル ロック、水割り
コルドン・ブルー 20-30年相当 ボルドリ中心、100種以上 シナモン、ココア、ドライフルーツ ストレート、温度変化で香り開く
XO 10年 グランド・シャンパーニュ+ボルドリ フィグ、ジンジャー、オーク深み 食後酒、チーズと
エクストラ/キュヴェ 30-50年+ 古酒中心 ランス、革、トリュフ コレクターズアイテム、バカラデキャンタ
限定品 変動 特別ブレンド 例:ブルー・スイフト(コーヒー豆インフュージョン) ギフト、イベント

革新とサステナビリティ:未来への約束

マーテルは伝統を守りつつ、現代に適応。ブドウ畑ではビオロジック栽培を拡大し、2035年までに全畑を認証取得予定。蒸留廃棄物はバイオガス化し、セラーは太陽光パネルで電力供給。カーボンニュートラル目標は2030年。若者向けには「マーテル・モヒート」「マーテル・ジンジャー」レシピを提案。音楽では「マーテル・ジャズ・ア・コニャック」フェスティバルを毎年開催し、アートでは現代アーティストとのボトルデザインコラボを実現。2025年には、AIを活用した原酒予測システムを試験導入し、熟成の最適化を図っています。


文化的アイコンとしての存在感

世界150カ国で愛され、特に日本ではバーでの水割り、中国では春節の贈答品として定着。ハリウッド映画『華麗なるギャツビー』『007』シリーズに登場し、ラグジュアリーの象徴に。コニャック市場のビッグ4(ヘネシー、レミーマルタン、カミュ、マーテル)の一角として、年間数百万ケースを出荷。2025年現在、アジア市場が売上の40%を占め、特に中国・日本でのプレミアム需要が急増しています。


味わいの探求:五感で楽しむマーテル

  1. グラス:チューリップ型で、香りを集中。
  2. 温度:最初は冷たく(10℃)、次に手で温め(18-20℃)香りの変化を追う。
  3. ペアリング
    • フォアグラのテリーヌ(VSOP)
    • ロックフォールチーズ(コルドン・ブルー)
    • 70%カカオチョコ(XO)
  4. カクテル
    • サイドカー:マーテルVSOP + レモンジュース + トリプルセック
    • フレンチ75:マーテルVS + シャンパン + レモン + シロップ

マーテルは300年の物語を宿す、優雅さと永続性の結晶。ボルドリの青いリボンが示すように、繊細なバランスと深い歴史が一杯ごとに静かに語りかけます。その味わいは、飲む者を時を超えた旅へと誘い、静かな感動を与え続けます。

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