アイラ島は、スコットランドのヘブリディーズ諸島に位置する小さな島で、「ウイスキーの島」として世界的に有名です。島の気候、海風、ピート(泥炭)豊富な土壌が、独特のスモーキーで海洋性のあるウイスキーを生み出し、愛好家を魅了しています。現在、アイラ島には10の稼働中の蒸留所があり、それぞれが独自の歴史、生産方法、ウイスキーのスタイルを持っています。以下では、各蒸留所の歴史、場所、ウイスキーの特徴、生産の特徴などを詳しく説明します!

Ardbeg(アードベッグ)

Ardbeg蒸留所は1815年にマクドゥーガル家によってアイラ島南岸、ポート・エレン近くの岩だらけの海岸に設立されました。1980年代に閉鎖の危機を経験しましたが、1997年にグレンモーレンジ社が買収し、復活を遂げました。蒸留所は海に近く、塩気と海藻の影響を強く受けます。ウイスキーの特徴は非常にスモーキーで、ピートレベルは50ppm前後と高め。強烈なピートスモークに、オイリーなタール、シトラス、海藻、燻製魚、ダークチョコレートのニュアンスが混ざります。フラッグシップのArdbeg 10年は、アイラウイスキーのベンチマークとして知られ、塩水、レモン、オリーブ、貝殻のような風味が特徴です。限定リリースの「ウーガダール」や「コリーヴレッカン」は、シェリー樽やバーボン樽の影響でさらに複雑な味わいを提供します。伝統的なフロアモルティングを部分的に維持し、ピートの燃焼時間を調整して独特のスモーキーさを引き出します。Ardbegはファンクラブ「Ardbeg Committee」を通じて愛好家と密接な関係を築いており、実験的なリリースも人気です。

Ardnahoe(アードナホー)

アードナホーは2018年にハンター・レイング社によって設立された、アイラ島で最も新しい蒸留所です。島の北東部、ブンナハーブンの南に位置し、アードナホー湖を見下ろすモダンな施設です。ワームタブ凝縮器とスコットランド最長のラインアーム(蒸留器の首部分)を採用し、豊かで滑らかなテクスチャーを生み出します。ウイスキーのピートレベルは約40ppmで、クラシックなアイラスタイルを継承しつつ、緑の果実(リンゴや梨)、白い果実、シトラス、柔らかなピートスモークが特徴です。初リリースの5年物はバーボン樽とオロロソシェリー樽のブレンドで、塩キャラメルやスパイスのアクセントが感じられます。アードナホーは伝統的なアイラのピートキャラクターに現代的な洗練さを加え、蒸留所の水源である湖の純粋さが味わいに反映されています。地元の大麦を一部使用し、少量生産にこだわる姿勢が評価されています。

Bowmore(ボウモア)

ボウモアは1779年に設立された、アイラ島で最も古い蒸留所であり、島の中心部、ボウモア村のロッホ・インダール湾沿いに位置します。海抜以下のNo.1 Vaults倉庫は、熟成中のウイスキーに海洋性の影響を与え、独特の風味を生み出します。ボウモアは伝統的なフロアモルティングを部分的に継続し、穀物の約40%を自社で麦芽化しています。ウイスキーのピートレベルは25-30ppmで、アイラの中では中程度。スモーキーながら軽やかなフローラルさ、トロピカルフルーツ(マンゴーやパイナップル)、海の塩気、穏やかなスモークが特徴です。12年物は明るくエレガントで、シェリー樽やバーボン樽のバランスが絶妙。15年物や18年物では、ヴィクトリア時代からのシェリー樽熟成の伝統が感じられ、ダークフルーツやスパイスが加わります。ボウモアはアイラの他の蒸留所と比べ、ピートとフルーティーさの調和が際立ち、初心者から熟練者まで幅広く愛されています。

Bruichladdich(ブルックラディ)

ブルックラディは1881年にハーヴェイ兄弟によって島の西側、ブルックラディ村近くに設立されました。1995年に閉鎖後、2001年に地元投資家が復活させ、「プログレッシブ・ヘブリディアン」哲学を掲げています。地元の大麦を使用し、島内で熟成させることにこだわり、多様なスタイルを提供します。ブルックラディのウイスキーは3つのシリーズに分かれます。まず、ノンピートの「ブルックラディ」は、乳酸、シトラス、シリアル、バニラのノートが特徴で、軽やかでフルーティー。次に、ピート40ppmの「ポートシャーロット」は、赤い果実、ミネラルスモーク、オークのスパイスが融合し、力強い味わい。最後に、「オクトモア」はピートレベル80ppm以上で、世界一スモーキーなウイスキーとして知られ、強烈なスモークとバニラ、キャラメルの甘さが共存します。実験的なワイン樽熟成やオーガニック大麦の使用も多く、革新性が際立ちます。

Bunnahabhain(ブナハーブン)

ブナハーブンは1881年にウィリアム・ロバートソンによって島の北東海岸、ポート・アスケイグ近くに設立されました。音の島(アイラ海峡)を見下ろす広大な敷地にあり、穏やかな海洋影響を受けます。ピートは最小限(2ppm未満)で、アイラとしては珍しくスモーキーさが控えめ。12年物はナッティーで軽いシェリー風味、トロピカルシトラス(オレンジやパイナップル)、柔らかなレザー、海の空気、かすかな煙が調和します。ピートを使用した「Toiteach A Dhà」や「Moine」シリーズは、スモーキーなファン向けに提供されています。ブナハーブンは1960年代のシェリー樽熟成ボトリングが伝説的で、濃厚なフルーツとナッツの風味が評価されます。蒸留所の水源はピートを含まない清澄な水がウイスキーの柔らかさを引き立てます。

Caol Ila(カリラ)

カリラは1846年にヘクター・ヘンダーソンによって設立され、アイラ最大の生産量を誇ります。ポート・アスケイグの海岸沿い、アイラ海峡を見渡す場所にあり、長い銅製スチルが軽やかなスピリットを生み出します。ブレンド用ウイスキーが主でしたが、シングルモルトの需要が増加。ピートレベルは35ppmで、優雅なスモーク、シトラス、白い果実、貝類、海岸の焚き火のような風味が特徴です。12年物はリフィルアメリカンオーク熟成で、クリスピーで洗練された味わい。カスクストレングスの若いボトリングは、ピートの力強さとミネラル感が際立ちます。カリラはブレンド「ジョニーウォーカー」のキーコンポーネントとしても知られ、安定した品質で人気です。

Kilchoman(キルホーマン)

キルホーマンは2005年にアンソニー・ウィルズによって設立された、124年ぶりの新蒸留所です。島の西側、キルホーマン農場にあり、100%アイラ産の大麦を使用する農場型蒸留所です。自社で麦芽化し、最小のスチルを使用することで、濃厚で個性的なスピリットを生み出します。ピートレベルは20ppmで、クリーミーなアーモンド、レモン、シリアル、ミネラルピートが特徴。主力の「マキャーベイ」はバーボン樽熟成で、塩キャラメルとシトラスのバランスが魅力。「ロッホゴルム」はシェリー樽熟成で、ナッツ、ダークフルーツ、シガーボックスの風味が加わります。テロワール重視の生産が特徴で、収穫からボトリングまでアイラ島内で完結します。

Lagavulin(ラガヴーリン)

ラガヴーリンは1816年にジョン・ジョンストンによってキルダルトン海岸に設立されました。ポート・エレン近くの湾に位置し、梨型スチルが特徴的な濃厚なスピリットを生みます。ピートレベルは35ppmで、16年物は強烈なスモーク、焦げたシトラス、スモークティー、シェリーの甘さが調和し、アイラの定番として愛されます。8年物は新鮮で激しいピート、12年カスクストレングスは毎年リリースされ、力強い味わいです。ラガヴーリンは1980年代には極端なスモーキーさと見なされましたが、今は世界的に人気。蒸留所の歴史的な建物と海辺のロケーションが、ウイスキーにロマンを加えます。

Laphroaig(ラフロイグ)

ラフロイグは1815年にジョンストン兄弟によって設立され、ポート・エレン近くの海辺に位置します。稼働中の麦芽フロアを維持し、伝統的な生産を守ります。ピートレベルは40-55ppmで、灰のようなピート、ヨード、レモン汁、オイスター、海藻、バニラ、スプルースが特徴。10年物は強烈なスモーキーさで知られ、愛憎両論を呼びます。古いボトリングでは、トロピカルフルーツやマイルドなピートが感じられます。ロイヤルワラントを持ち、王室とのつながりも深い名門です。ラフロイグのファンクラブ「Friends of Laphroaig」は、愛好家に土地の所有権を象徴的に提供するユニークな取り組みで知られます。

Port Ellen(ポート・エレン)

ポート・エレンは1825年にジョン・ラムジーによって設立され、1983年に閉鎖後、2024年にディアジオ社により復活しました。キルナフトン湾に位置し、フェニックススチルと実験スチルを使用。ピートレベルは35ppm程度で、歴史的なストックは土っぽいマリン、ミネラル、スパイシーなスモークが特徴。1980年代のボトリングはオースティアなスモーキーさで希少価値が高い。新生産はラグジュアリーマーケット向けで、数年後のリリースが期待されます。ポート・エレンはアイラの伝説として、ウイスキー史に名を刻みます。

まとめ

アイラ島の10の蒸留所は、ピートの強弱、熟成樽の選択、テロワールの影響により多様なウイスキーを提供します。アードベッグやラフロイグの強烈なスモーキーさ、ボウモアのエレガントなバランス、ブナハーブンの穏やかな果実味、キルホーマンのテロワール重視など、各々が個性を発揮。アイラの自然と歴史が織りなす味わいは、ウイスキー愛好家にとって尽きない魅力です。

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