ワインの味わいを決める要素は多くありますが、その中でもっとも大きなウェイトをしめるものは原材料、つまりぶどうの品種に他なりません。
今回はぶどうの品種をあらためて徹底解説していきます。

まずは赤ワイン用品種から!

カベルネ・ソーヴィニヨン
Cabernet Sauvignon


フランスのボルドー地方左岸で数多くの銘酒を生み出してきた人気品種です。
現在は世界中で栽培されており、新世界ワインにおいても使用されることが多い品種です。
水はけのよい土壌と、温暖で乾燥した気候に適しており、晩熟なことも特徴です。
豊富なタンニンと重厚な味わいは長期熟成において輝き、ボルドーワインを支えてきたことは間違いありません。
ボルドーでは他の品種とブレンドされることが多いですが、カリフォルニアやチリなどでは単一品種で使われることも多いです。
産地はボルドーやカリフォルニアのナパ、ソノマ、チリのセントラルヴァレー、イタリアトスカーナのボルゲリなどです。

ピノ・ノワール
Pinot Noir


フランス・ブルゴーニュを支えてきたピノノワール。
赤ワインの品種としては先述したカベルネソーヴィニヨンと双璧をなす存在といえます。
冷涼な気候と石灰性粘土質土壌を好んでいますが、栽培が難しくデリケートな品種ともいえます。一方でテロワールを繊細に反映するために、単一品種で使用されることが多くキャラクターもさまざまであることがワイン愛好家から人気を博す大きな理由かもしれません。
タンニンは比較的穏やかで果実味のある香りや美しい酸を持ちます。
熟成を重ねると華麗さの中に複雑さが生まれます。
フランス・ブルゴーニュのコート・ドール、ニュージーランドのマーティンボロ―、アメリアカ・オレゴン州やドイツのバーデン地方などで栽培されています。

メルロ
Merlot


フランス・ボルドーの右側(ポムロール・サンテミリオン地区)での主要品種です。
水持ちのよい粘土質土壌を好んでいます。
カベルネソーヴィニヨンと比べると早熟で、タンニンも柔らかです。
果実味が豊かでなめらかな口当たりが魅力とされています。
世界中で広く栽培されており、ボルドー地区右岸にとどまらず、カリフォルニア、イタリアのフリウリ・ヴェネチア・ジューリア州、日本では長野県でも栽培されています。

シラー(シラーズ)
Syrah/Shiraz


フランスの北部ローヌ地方が原産のシラーズは温暖で乾燥した気候に適しています。
黒い果実は濃密でパワフルな香りを有しており、野性的とも評されることがあります。
タンニンも強く長期熟成にも向いているのが特徴のひとつです。
ローヌ地方ではシラー、またもうひとつの代表的な生産地であるオーストラリアではシラーズと呼ばれています。
ローヌ地方では豊かなエレガントな香りを持つワインが多いのに対し、オーストラリアではボリューム感と凝縮された果実、スパイスなどを特徴とするワインが多く産出されています。
フランス・ローヌ、オーストラリア・バロッサヴァレー、カリフォルニア・パソ・ロブレス、アルゼンチン・メンドーサなどで栽培されています。

サンジョヴェーゼ
Sangiovese


イタリア、特にトスカーナ州を中心とした地区の主要銘柄です。
遺伝的な変異が激しく、さまざまな品種が生まれています。
キャンティに使われる「サンジョヴェーゼ・ピッコロ種」とブルネッロ・ディ・モンタルチーノに使用される「サンジョヴェーゼ・グロッソ種」が代表的な品種です。
酸味ゆたかでいきいきとした味わいはイタリア的であり、人気の秘密です。
プラムやプルーンのような酸味とバランスの良いタンニンが効いたしなやかな味わいです。
トスカーナ州、イタリアのエミリア・ロマーニャ州、フランス・コルシカ島などで栽培されています。

グルナッシュ
Grenache


南仏やスペインなど、温暖で乾燥した気候に適した品種です。
多産性で熟しやすい品種のために栽培には注意を払う必要がありますが、コントロールすれば果実味の豊かなワインになります。他品種とのブレンドに使われることが多く、ロゼワインに使用されることも多いようです。

カベルネ・フラン
Cabrnet Franc

カベルネソーヴィニヨンの原酒がカベルネ・フランです。
ソーヴィニヨンよりも軽く、品の良い香りを持ちます。またハーブや青草の香りもこの品種の特徴かもしれません。
早熟で冷涼な環境でもよく育つために、フランスのロワール地方などで栽培されることが多いです。

ネッビオーロ
Nebbiolo

北イタリア・ピエモンテ州で栽培されるイタリアの土着品種です。
イタリアワインの王とよばれるバローロやバルバレスコに使用されており、晩熟で豊かな酸とタンニンを持ち長期熟成において真価を発揮します。
バラ、スミレ、トリュフ、葉巻など豊かな香りをもち、他のワインにはない魅力をいくつも有しています。
他の地域での栽培も試みられていますが、ほとんど成功しておらずイタリア・ピエモンテ州での生産がほぼすべてのようです。

テンプラリーニョ
Temperanillo

スペインを代表する主要銘柄です。スペインのほぼ全域で栽培されており、スペインワインの名実共に顔となっています。
ワインはバラエティに富みますが、良品にはきめ細やかで濃密な風味を持っています。
スペインの
リオハ地方ではガルナッチャ(=グルナッシュ)とブレンドされます。

ガメイ
Gamay

ブルゴーニュ地方南部、ボージョレに使用される銘柄です。
軽やかでフルーティーな風味が特徴で、渋味の少ないガメイ種は早飲みの新種=ボージョレ・ヌーヴォーとして日本において人気があります。

今回ご紹介したものは多くのワイン用ブドウの中でごく一部になっております。
世界中にはさまざまなワイン用ブドウが作られており、その数は増える一方です。

次回は白ワイン用ぶどう編です!