ワインの生産量世界一の国、イタリア!
隣国フランスの存在感が大きいため、どうしても2番手のイメージを持たれがちなイタリアワインですが、イタリアほどにワインを愛する国はないかもしれません。
その歴史は紀元前までさかのぼり、イタリアの様々な文化とワインは切っても切れないものとなっています。
そのイタリアワインの特徴をご紹介していきます。
今回は「多様性」とイタリアワインの読み取り方についてです。

多様性

 

イタリアの国土は南北に伸びており日本に似ています。
南北に1200km伸びており、アドリア海、地中海、ティレニア海に面しています。
日本も北と南で気候が大きく異なるように、イタリアも北部と南部とまた東と西に海がある国土のため多様な地理的個性があります。
北部南部、それぞれの東部西部の気候はもちろん、山岳地帯も多く高度の変化もイタリアワインの多彩さをいっそう際立たせています。
イタリアを東西に分断するアペニン山脈をはじめとして、各地に山があり、イタリア全土の35%は山岳地帯とされています。
高度が高い山の斜面の畑は、高い品質のワインを産出しています。
しかしこれほどまでに多様でありながら、その多くの土地においてワイン作りが盛んなのはなぜでしょうか。

多様な環境でありながら、そのほとんどが地中海性気候に該当するためどの州においてもぶどうの栽培に適した~十分な環境を持っていることがあげられます。

ぶどうのような樹木は水分に恵まれた土地で栽培すると、気が余分に水分を吸い上げてしまい、実に栄養が凝縮されなくなってしまいます。
そのためイタリアの乾燥しており、気温が高い地中海気候がワイン用のぶどうの栽培に適しているのです。
ワイン用のぶどうは20の州で栽培されており、それぞれの栽培園においてもバラエティ豊かです。その品種も次々に新種ができており、2000以上の土着品種があると言われてます。すべてのワイン品種を把握するのは不可能と言われていることも不思議ではありません。

またイタリアワインの多様性が進んだ理由は地理・気候だけではありません。
イタリアの国家が統一されたのは比較的遅く、長らく小都市国家の集合国家でした。そのため各地方で文化や歴史が大きく異なり、ワイン造りにおいても多様なカラーを見せています。

これらの理由からイタリアは他に類を見ない多様性のあるワイン国家となっています。

イタリアワインの格付け

イタリアワインにも格付けがあります。
1963年にイタリアワインにDOC法(原産地呼称管理法)が制定されました。
下記上位から4つの区分のピラミッド状になっています。
【DOCG】
=Denominazione Origine Controllata Garantina (統制保証付原産地呼称ワイン)
【DOC】
=Denominazione Origine Controllata (統制原産地呼称ワイン)
【IGT】
=Indicazione Geografica Tipica (地域特性表示ワイン)
【VdT】
=Vino da Tavola (テーブルワイン)

そして2009年に法改正が行われ、下記3つの区分に新たに制定されました。

【DOP】(旧DOCG+旧DOC)
=Vino a Denominazione di Origine Protetta (保護原産地呼称ワイン)
【IGP】(旧IGT)
=Vino a Indicazione Geografica Protetta(保護地理表示ワイン)
【VINO】(旧VdT)
=地理的表記の無いワイン

※しかし旧法のDOCやDOCG、IGTの表記をワインに使用することは現在でも認められており、DOCやDOCGなどのボトル記載は現在でも一般的に使用されています。

しかし多様なイタリアワイン、もちろん等級が良いものは高品質である傾向はありますが、あくまでひとつの目安にすぎません。

一例として有名な高級イタリアワインの「サッシカイア」は当初DOCやDOCGの区分に類しておらず【Vdt=Vino da Tavola】つまりテーブルワインとしての等級で世に送り出されました。イタリアワインの等級には、イタリアワイン文化の保持のために使える品種は醸造方法に細かな規定があり、それを満たさないとDOC,DOGCを名乗ることは出来ません。
しかしサッシカイアは当時のトスカーナ DOCG/DOCの規定の品種以外も使用していたために、この等級にはあてはまらず当時安価なテーブルワインであるVdT等級になっていました。

しかしサッシカイアの高い品質と評判によって法規制も緩和され、サッシカイアは1994年「ボルゲリ・サッシカイア」というDOC呼称を獲得するに至りました。
同時に単独のワイナリーがDOCとして認定された初めてのケースとなりイタリアワインの歴史の大きな1ページになっています。
これを皮切りにして、従来の格付けに囚われない独創的なワイナリーも多く生まれ、イタリアワインの多様性がより一層広まることになります。

知識深まるイタリアワイン用語

イタリアワインを読み解くうえで助けになるキーワードをいくつかご紹介します。

CLASSICO(クラッシコ)

言葉の意味合いとしては「伝統的」であり、産地の中でも特に伝統的な畑で収穫されたぶどうを使用していることを示しています。これは同時にワインの品質が優れていることにも繋がっています。

有名なものでいえば「キャンティ」「キャンティ・クラシコ」の例が挙げられます。
クラシコ表記のあるキャンティは通常のキャンティの基準よりも厳格で一般的により上質なキャンティであることが多いです。
この背景にあるのは、「キャンティ」の人気と生産量でした。
当初からキャンティはDOCGでしたが、栽培面積もかなり広い区画です。
キャンティの人気が高まり、一部のネゴシアンは「キャンティDOCG」というブランドに頼って伝統的なキャンティの優れた品質よりも生産量を重視した生産をはじめることになります。
従来のものより低品質なキャンティDOCGが多く世に出され、その結果「キャンティ」の評判にも傷がついてしまうことになりました。
そうなると以前から高品質なキャンティを作っていた生産者は黙ってはいられません。

そこで生まれたのが「キャンティ・クラシコ」です。
当時キャンティの名前を借りて生産されていた安価なワインとの差別化を図る新たな、そして同時に”伝統的な”DOCGが、1996年に誕生しました。

Rizerva レゼルヴァ

原産地呼称で定められた最低期間を上回って長期熟成をされたワインはレゼルヴァを名乗ることができます。
これは銘柄によって規定は様々です。
一例としてバローロの場合は、通常38か月の熟成が求められていますが、「バローロ・レゼルヴァ」の場合は最低62か月の熟成期間が求められます。
長期熟成のため、通常よりフルボディのワインになることがほとんどです。

Superiore スペリオーレ

規定で定められた通常のアルコール度数より規定の値以上高い場合、スペリオーレを名乗ることができます。
ピエモンテ州のバルドリーノは通常が「バルドリーノDOC」ですが、スペリオーレの場合は「バルドリーノ・スペリオーレDOCG」と昇格しています。
規定以上の度数より高い場合であってもスペリオールを名乗る必要はなく、そうしていない生産者もあります。

まとめ

今回はイタリアワインの多様性とイタリアワイン法についてご紹介しました!
引き続きイタリアワインの魅力を徹底解説していきます!

イタリアワイン②産地と品種で読み解くイタリアワイン!【ブログDEゴザル】