りんごのブランデー、カルヴァドス!
日本においても近年、人気が高まっているブランデーの一つです。
リンゴの瑞々しくさわやかな香り、あるいは焼きリンゴのような濃厚な甘さ、それらが複雑なバランスで香るカルヴァドスは、さまざまな方におすすめできる蒸留酒のひとつです。

カルヴァドスとは?

フランスのノルマンディー地方で作られる、リンゴを原料とする蒸留酒です。
世界三大ブランデーの一つとして知られています。

カルヴァドスの製法

まずリンゴの果汁を発酵させてシードルを造ります。
蒸溜してできたスピリッツはオー・ド・ヴィー・ド・シードルと呼ばれ、無色透明なものです。
それを蒸留してオーク樽で2年以上熟成させます。

「カルヴァドス」を名乗るには

りんごから作られるブランデーはたくさんありますが、「カルヴァドス」を名乗るためにはいくつかの条件があります。
これはAOC(原産地呼称制度)と呼ばれるフランスの制度によって制定されて守られています。

まず原産地としてカルヴァドス県とその近隣の県に作られたアップルブランデーのみが「カルヴァドス」を名乗ることができます。
加えてアルコール度数が最低で40度、そして最低2年以上の熟成期間が条件となっています。
また洋ナシ(ポワレ)も原料としてブレンドすることが可能になっています。
ポワレの使用不使用や比率はメーカーによってさまざまであり、カルヴァドスの奥行きのひとつとなっています。

カルヴァドスの産地

先述したカルヴァドスのAOCではそのエリアによって3つの認定があります。

・カルヴァドス・ペイ・ドージュ

ノルマンディー地方の中央~北東部に位置するペイドージュ地区。
カルヴァドスの産地として有名で、多くの著名なカルヴァドスブランドはこのぺードージュ地区に集中しています。
洋ナシの使用は30%以下、単式蒸留機で2回蒸留して作ることが義務づけられています。
熟成は最低2年としています。

・カルヴァドス・ドンフロンテ

ドンフロンテ地区はノルマンデイー地方の中央南部に位置していますが、面積が狭く、生産量もカルヴァドス全生産量の中でも1%程度です。
特徴としては洋ナシの生産が盛んであり、ドンフロンテ地区の果樹園全体の25%が洋ナシ果樹園といわれています。
先述したペイドージュとは対照的にこちらは洋ナシの比率が30%以上であることが義務付けられています。
また連続式蒸留器を使用と定められており、こちらもペイドージュと異なっています。
熟成は最低3年になっています。

・カルヴァドス(広域)

ノルマンディー地方区域の広域AOCです。
先述したように、対象の区域で生産されており、アルコール度数が最低で40度、そして最低2年以上の熟成期間が義務つけられています。
蒸留方法に関しては指定はありません。

これらに類しないリンゴを用いたブランデーはアップルブランデーと言われます。

カルヴァドスの楽しみ方

食後酒として飲まれることが多いようです。
コニャックやアルマニャックに比べて口あたりがライトなので、飲む前の料理の幅も広がります。
その爽やかな甘さは他の蒸留酒には少なく、食後酒にぴったりといえます。

ストレートはもちろん、ロックやソーダ割でも美味しくいただけます。
凝縮されたリンゴの香りを楽しみたいのならぜひストレートで飲まれることをお勧めします。

またカルヴァドスを使用するカクテルもあります。

有名なものは「ジャックローズ」
カルヴァドス(アップルブランデー)とライムジュースとグレナデンシロップをシェイクで作るショートカクテルです。
グレナデンの華やかな赤色にりんごの香りがマッチします。

またシガーやチーズとの相性が良いとされています。

まとめ

りんごの蒸留酒、カルヴァドス
その名前を知っていても、飲まれた方、飲み比べされた方はなかなか多くは無いのではないでしょうか。
世界三大ブランデーのひとつでありますが、他のコニャックやアルマニャックとはまったく違う味わいのブランデーです。
しかし通好みのマニアックなお酒ではなくて、多くの人に好まれる親しみやすい味わいであることは間違いありません。
爽やかな香り落ち着いた深み、夏の暑さがおちついた秋の季節にぴったりのお酒だと思います。
是非みなさまも今年の秋はカルヴァドスのおだやかな香りに癒されるのはいかがでしょうか。

いくつかのカルヴァドスメーカーとボトルを紹介しようと思い、書き始めましたがカルヴァドスの紹介でなかなかのボリュームになってしまいました。
次回はいくつかのボトルを紹介させていただきます!